大阪地方裁判所 昭和44年(む)310号 決定 1969年10月01日
主文
本件請求を棄却する。
理由
一、本件準抗告申立の趣旨および理由は別紙記載のとおりである。
二、勾留場所のいかんは、勾留裁判の重要な内容とみるべきであり、これについて不服があるものは刑事訴訟法四二九条一項二号にもとづいて準抗告の申立をすることができるものと解するのが相当である。
三、一件記録によると、大阪地方裁判所裁判官鐘尾彰文が昭和四四年一〇月一日本件被疑事件について罪証隠滅のおそれがあることを理由に勾留すべき監獄を「大阪拘置所」と定めて被疑者を勾留する旨の裁判をしたことは明らかである。
ところで原裁判官が勾留場所を右のように定めた理由は明らかにされていないが、記録によって考えると、本件事案がとくに被疑者の主観的意図が中心的な課題となるべきいわば事案の性質および被疑者の年令を考慮してのことであろうと認められるのである。
勾留はもっぱら被疑者の罪証隠滅、逃走防止のためのものであることはいうまでもなく、検察官のいうように勾留場所が右のように決められたことにより、実際上はある程度の支障があるかもしれないが、それによって捜査が不可能ないしは著しく、困難になるものとは認められず、検察官主張のその余の点を考慮にいれても、勾留の目的に照らすと、原裁判の勾留場所を変更すべきものとはいえない。
四、右のとおりであるから本件請求はその理由がないので棄却することとし刑事訴訟法四三二条四二六条一項を適用して主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 児島武雄 裁判官 金田育三 山田利夫)
<以下省略>